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2019年の「AbemaTV」開発局をタイムラインで総振り返り

2019年も残すところ僅かとなりました。この1年の締めくくりとして、「AbemaTV」開発チームの取り組みを年表形式で皆さまにご紹介したいと思います。

2019年「AbemaTV」の技術進化となる3つのキーワード

2019年の「AbemaTV」の技術進化のキーワードは以下の3つです。

「データドリブン」

「ターゲティング広告」

「メディア価値向上」

我々のサービスはニュース・バラエティ・アニメ・ドラマなどからなる「コンテンツ」とそれらを受動的視聴体験として提供する「プロダクト」の掛け算によって、ユーザーの日常に溶け込むエンターテインメントです。コンテンツをより早く視聴環境にあわせた適切な品質で届け、またその再利用価値の向上や分析の土台を構築するためにMAM(Media Asset Management)を導入しました。あわせてFeature Flagプラットフォームを構築し、プロダクトの機能開発や機能改善のPDCAサイクルを高速化しています。これらはよりサービスを「データドリブン」に成長させるための取り組みです。

広告においてはOS/キャリア/エリアなどの「ターゲティング広告」のラインナップを増やし(※1)、より様々な広告主の要件に応えられるように進化しています。

またニュースの配信遅延を減少させ速報性を向上したり、マルチデバイス対応の促進・海外視聴対応による利用しやすさを改善したり、クライアントの視聴体験のモニタリングやクラウド上での頻出障害ポイントの冗長化を通してユーザー視点での高可用性を向上しています。これらの取り組みの積み重ねが「AbemaTV」の「メディア価値向上」に繋がっていくと信じています。

(※1)現時点では「Abemaビデオ」のみの対応となっています。

「AbemaTV」2019年の技術トピック振り返り

2019年の主な取り組みをまとめてみましたが、その中でも「AbemaTV」が特に力を入れて取り組んだことについて、いくつかご紹介したいと思います。

マルチデバイス対応を強化

来年はテレビの買い替え需要が大きく見込まれていることもあり、今年はテレビデバイスへの対応をより強化してきました。パナソニック、東芝、船井電機、三菱電機から発売された新製品のリモコンに「AbemaTV」ボタンが搭載されたほか、「Clova Desk」や「J:COM LINK」などマルチデバイスへの対応をより強化した1年となりました。

実は、テレビデバイスはその物理的な大きさとは裏腹にモバイルデバイスよりもスペック上の厳しい制約があります。厳しい価格競争に勝ち残るために、限られたSoCの面積に極限まで最適化して機能が詰め込まれています。そのため、モバイルデバイスで再生可能な動画でもテレビデバイスでは処理負担が大きく再生が不安定になるケースもあります。「AbemaTV」はこれまでモバイルデバイス中心にサービスを展開してきたこともあり、コンテンツ特性はモバイルデバイスでの視聴に最適化されてきました。開発ではテレビデバイスのモデルごとに「AbemaTV」コンテンツの再生バリエーションテストを行い、テレビメーカー各社と協力して、コンテンツ、配信形式、アプリケーション、ファームウェアに対して細かい調整を行ってきました。

テレビ放送受信機であるテレビデバイスのハードウェア/ソフトウェアのリソースは、通常の地上デジタルテレビ放送を始めとした放送コンテンツを再生することに最適化されています。放送の場合は映像コンテンツは定められた規約の中で安定したフォーマットで生成されますが、インターネット動画の世界はそれと比べると自由です。ビットレートの振れ幅も大きく、フレームレートやサンプリングレートも動的な場合もあります。リニア動画サービスなので、フレームレートなどが1つの番組内で固定の場合でも番組が切り替わればフォーマットが変わります。従来の製品仕様上では想定されていなかったケースを洗い出し、安定した視聴機能の提供に努めました。

A/Bテスト&Feature Flagプラットフォームの「Bucketeer」本格運用開始

「AbemaTV」では開局以来、当初のコンセプトをまず実現しようと大規模な機能開発が進みました。概ねのコンセプトが実現された後、より良いユーザーの視聴体験を生み出すために様々な施策の実現を試みましたが、これらの取り組みの中でいくつかの課題を感じました。1つめは施策の規模の大小に関わらず、サービスを利用するユーザーの規模が大きいため、機能開発が大掛かりになりがちであることです。2つめは長い工期をかけたとしてもユーザーの反応が薄く、施策の実現効率が悪いケースがあることです。これらの問題を解決するために、「小さく作り」、「即座にリリースし」、「一部のユーザーの反応をみて」施策の筋や改善点をはかる必要があると考えました。

今年本格運用を開始したA/Bテスト&Feature Flagプラットフォーム「Bucketeer」は上記の課題を解決する内製プロダクトです。Feature Flagによってラッピングされた機能はアプリケーションのデプロイタイミングに柔軟性を与え、組み込まれたコードに問題がある場合でも即座にその影響を自動的に本番環境から取り払うことができます。また施策を本実装する前に本番環境でのユーザーの実際の反応に基づいて判断することができるため、意思決定の属人化を排除し、よりデータドリブンかつ効率的な開発サイクルを実現することができました。「Bucketeer」は「AbemaTV」の基盤システムとして開発・運用を開始しましたが、2020年以降はこのプロダクトをサイバーエージェントの様々なサービスに展開し、グループ全体での開発プロセスの最適化に貢献していくつもりです。

コンテンツ管理システム「Dalet」運用開始

10月には、念願のコンテンツ管理システム「Dalet」の運用を開始することができました。「AbemaTV」でのコンテンツ管理におけるポイントは3つあります。


・コンテンツが資産として二次利用可能な状態で管理されていること
・コンテンツに付加するメタデータが規定に沿って付加・運用されていること
・コンテンツの品質が規定に沿って保たれていること

このような形でコンテンツを資産として管理するシステムは一般的にMAM(Media Asset Management)と呼ばれています。MAMのミドルウェアである「Dalet」という製品を利用してコンテンツの投入と同時に入稿規定のチェックや、放送システムに対して適切な動画フォーマットへのトランスコードを自動的に行えるワークフローを構築しました。

あわせて、同一コンテンツにも関わらず放送形態によって異なっていたID体系を一元化し、そのIDに対してコンテンツとして普遍的なメタデータを付加しベースメタデータとして活用できる状態を構築することでオペレーションコストを短縮することができました。

(番外編)「AbemaTV」の映像技術専門知識の総まとめ!?「WinTicket」への技術協力

今年は「AbemaTV」がこれまでに培ったノウハウを、関連事業である競輪のインターネット投票サービス「WinTicket」に還元することができた1年でもあります。これについて、技術協力の中心メンバーである「AbemaTV」CTOの西尾に話を聞いてみました。


ー「AbemaTV」が「WinTicket」へ技術協力をしたということですが、その背景と実現したことを教えてください

「WinTicket」は立ち上げにあたり、才覚と熱量に溢れる若手を中心に開発組織が構成されました。私はその挑戦における一種の「保険」として、技術顧問のような立ち位置を任されていたのですが、折角の機会なので「AbemaTV」の開発・運用を通して培った映像配信のノウハウを新規サービスに最大限活かし、またそこで得られた新たなノウハウを「AbemaTV」に逆輸入しようと考えました。「WinTicket」の映像配信では競技映像の特性にあわせて、入力から出力までを一気通貫で考慮した最適化を施しています。これはライブソースからの視聴品質という意味では従来の「AbemaTV」を上回るクオリティに仕上がっていると言えるでしょう。


ー今の「AbemaTV」で使いたくても使えていない知見を「WinTicket」に反映させている、ということですか?

ある意味ではそう言えると思います。「WinTicket」ではあくまでサービスの根幹はお客様に競技の結果を予想し賭けて頂くことです。この点は「AbemaTV」のコンテンツを日本全国のお客様に提供し、エンターテイメントとして映像自体を楽しんで頂くという根幹と異なります。そのため「AbemaTV」では映像配信の安定性や、より多様なデバイスでの視聴を可能にすることを優先するため、なかなか攻めにくい領域やドラスティックな変更が難しい領域が存在します。「WinTicket」ではこういった制約や事情を考慮する必要がなかったため、振り切った対応ができたということですね。


ー実現する中で印象に残っている技術的チャレンジについて教えてください。

1点目は競技映像の特性と視聴環境のユースケースをかけ合わせで考えたレゾリューションのラインナップです。現在720p/540p/240pを提供していますが、720pはWeb視聴の高画質を担保しバランス型の高品質を実現したレゾリューションです。720pではありますがビットレートとしては「AbemaTV」の1080p相当ほど振っており、同レゾリューション帯の品質では「AbemaTV」を上回ります。540pはWebでのリサイズやスマートフォンでの横画面視聴を想定した標準的な品質です。240pはモバイルの縦画面視聴や通信量を抑えたいお客様を想定したもので、低レゾリューションではありますが競技映像中に表示される文字要素を正しく識別可能なように調整しています。これらの出力を実現するために競技場から10Mbps/1080iで伝送し、回線センター兼スタジオにて後段のエンコードに備えたクラウドへのインジェストを行い、適切なエンコードを施した後にお客様の視聴環境への配信につなげています。


2点目は映像配信インフラストラクチャのコード化です。「WinTicket」では競技場ごとの映像を配信する可能性があるため、競技場をチャンネルと見立て、クラウドへのインジェスト以降すべてのコンポーネントがチャンネル単位でコード管理されています。新しいコーデックの適用やレゾリューションの追加はもちろんのこと、新しい競技場の映像配信に必要とされる時間すら数分程度になります。低遅延化や中間映像処理の余力を多く残した状態で稼働しているため、今後「WinTicket」の競技映像の品質や価値は一層高まっていくと考えています。

2020年に向けて

2019年は「AbemaTV」の技術的な土台が着実に積み上がった年となりましたが、2020年はこれらの土台を用いてサービスを飛躍的に成長させる変化の年にしたいと考えています。現在2020年にむけて、より高い安定性と速報性の実現に向けたプロジェクトが進行中だったり、よりデータドリブンにコンテンツとプロダクトの掛け算を最大化させる取り組みが進行中です。来年も様々な技術トピックを皆さまにお届けできることを楽しみにしています。

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