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デザインの説明可能性とAIの応用

こんにちは、エイシング採用担当の増田です!

最近エイシングでは、席替えを実施しました。隣に座るWebマーケ担当の板橋さんは、エイシングのプレスリリースも担当しており、つい先日も、プレスリリース用のイメージ画像を作成されていました。

板橋さんは、画像のデザイン(特にフォント)を選択するのに苦戦していました。コンセプトとしては頭の中に存在しているものの、それを上手くアウトプットするのが困難だと話していました。

デザインと言えば、「直感、センス、閃き」と言った右脳優位のイメージが思い浮かびますが、一流のデザイナーはいかにして作品を作り上げているのでしょうか?

日本を代表するクリエイティブデザイナーの水野学氏は著書で、「言葉で説明できないアウトプットはあり得ない※1」と語っており、デザイナーは全ての作品に論理的な意味を持たせており、説明可能性があることを暗示しています。

その発言にヒントを得て私は、「デザインにおいてもAIを応用できる可能性があるのではないか」と考え、デザインの中でも特にフォントに絞ってAIの実現可能性を調査しました。

エイシング近くのミッドタウンガーデンに存在する芸術的なオブジェ 

デザイン界におけるAI活用の黎明期

そもそもデザイン界へのAIの活用はどこから始まったのか?

デザイン界でのAI活用が最初に話題となったのは、「Adobe」である。Adobeとはデザインを勉強したことがある人であれば、誰でも知っているillustoratorやPhotoshopで有名なソフトウェアの会社である。

Adobeは2016年にAI・機械学習のテクノロジーである「Adobe sensei」を開発し、機械学習領域への貢献を発表した。

そんなAdobe senseiでできるのは、例えば画像の変換である。機械学習のGANなどの技術を利用することで真昼に取られた写真を真夜中に変えることが可能である。

スマホアプリ「Photoshop Camera」を使うと、昼間に撮った写真(左)を「月の出た夜の写真」(右)へと自動的に変換してくれる

フォントと機械学習の親和性

機械学習では、大量のデータをコンピュータに学習させ、データの傾向を元に予測結果を算出する。そのため、フォントの特徴的な部分を数値データで表現することにより機械学習への応用が考えられる。

ではフォントの特徴とは何なのだろうか?

それは、サイズや線の太さと言った文字の形状にある。

欧文フォントにおいては、文字の形状を決める要素は以下のように膨大に存在する。その中でも特徴的な部分を挙げるとするならば、セリフであろう。

欧文フォントは、セリフ体とサンセリフ体(セリフが無い書体)に分類することが可能である。この「セリフ」と呼ばれる装飾は、約2000年前にローマに建てられた「トラヤヌス帝の碑文」に彫られた文字が元となっている。

ノミで石を彫った跡がセリフとして今もフォントに引き継がれている。そのため、一般的にセリフ体の文字は格式や品格、伝統をイメージさせるフォントとなっている。

「Trajan(トレイジャン)で彫られたトラヤヌス帝時代の石碑」

逆にサンセリフ体の文字は、現代的や先進的な印象を私たちに与える。

例えば、「Futura(フーツラ)」はデザイナーの中でも人気が高いサンセリフ体のフォントである。Futuraが作られたのは1927年。ドイツの近代的なデザイン学校バウハウスの設立を背景に、1920年代のヨーロッパに広がったモダン・デザインの考え方に基づいて作られたサンセリフ体である。 

その特徴は、定規とコンパスで組み立てたような幾何学的な美しさと微調整による読みやすさを兼ね備えた点であり、「Louis Vuitton」や「Volkswagen」など世界を代表する企業のロゴにも使用されている。

洗練された「Louis Vuitton」のロゴ。正円に近い「O」がアクセントとして目を惹く。

フォント選択を支援するAI技術の実用例

フォントの造形の特徴を利用して最適なフォントの組み合わせを選ぶサービスが存在する。

Fontjoy」は文章の見出しに使用するフォントを決定することで、文章のボディ部分に適したフォントをAIが選択してくれる。このサービスでは、おそらくCNNとクラスタリングの技術を用いていると思われる。

フォントの画像データをCNNで畳み込み、少なくなった特徴量を用いてフォント毎の類似度を計算しているのであろう。下のように、PCAにより三次元まで圧縮した空間において、フォント間の類似度を確認することも可能である。

Sahitya700と類似度の高いフォントを三次元グラフ上で赤く表示している

また、フォントが持つ性質をラベル付けして、文章に合わせて適切なフォントを選ぶシステムも存在する。

DNP(大日本印刷)が提供するシステムは、文章を読み取り、感情や話題に合わせたフォントに自動で切り替えることが可能である※2。このシステムは、おそらくword2vecという自然言語処理の技術を用いていると思われる。

word2vecとは、当時Googleに在籍していた研究者であるトマス・ミコロフ氏らにより提案された自然言語処理に大きな技術的進展をもたらしたツールである。このツールを利用することで、文章を喜怒哀楽のベクトルで表現することが可能となり、文章、もしくは単語毎に、ラベル付けされたフォントと対応をとることができる。

この感情表現システムをより拡張してゆくことにより、デザイナーの表現したい作品や文章のフィーリングに合わせて、適切なフォントをレコメンドするサービスも開発することができるだろう。

今回は、芸術の分野においても特に説明可能性の高いデザインとAIの関係性について、現在実装されているシステムを元に説明した。

当初に立てた仮説通り、デザインをAIの応用により決定する手法を複数確認することができた。今後AIの技術がより進歩してゆくにつれ、より便利で実用性の高いサービスが開発されることだろう。

※1 水野学著「センスは知識からはじまる」
※2 「DNP感情表現フォントシステム」を開発

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