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AtCoderの社長と一緒に"エンジニアを幸せにする人事"について本気出して考えてみた# 採用帰れま10 vol.08 イベントレポート

企業におけるエンジニアの需要がますます上がる中、エンジニア採用人事が目指すべきは「エンジニアを幸せにする人事」ではないでしょうか。

7月20日に「AtCoderの社長と一緒に"エンジニアを幸せにする人事"について本気出して考えてみた # 採用帰れま10 vol.08」と題し、エンジニア採用人事が発揮するべき価値について、AtCoder社長の高橋直大さん、エクサウィザーズAIエンジニアリングフェローの遠藤太一郎と一緒に考えました。

この記事では、同日のイベントレポートをお届けます。

キャリアに寄り添うには、相手の欲求を知ること

半田:お二人とも今日はよろしくお願いします。高橋さんは、普段直大(ちょくだい)さん、と呼ばせていただいているので、今日もそれでいきたいと思います。

直大さん:よろしくお願いします(笑)

半田:今日のテーマは、「エンジニアを幸せにする人事とは」ということで、

・エンジニアのキャリアに寄り添うにはどうしたらいいか
・エンジニアにとって、エンジニア採用人事とはどういう存在であって欲しいか
・エンジニア採用人事を続けることで得られるものとは?

この三つのトピックについて考えてみたいと思います。まずは、一つ目、「エンジニアのキャリアに寄り添うにはどうしたらいいか」から。

自分はこれまで採用活動を通じてさまざまなエンジニアの話を聞いてきました。その中で感じたのは、ビジネスサイドの候補者と比較してですが、一般的にエンジニアの方がキャリア選択の際に企業の情報を十分に集めたり、メリットデメリットを比較したりせず、限られた情報の中であっさりと決めてしまう方が多いこと。この辺りの肌感覚いかがでしょうか。

直大さん:同感です。AtCoderに参加する学生の場合、就職サイトへの登録すらせず、Googleなどの有名企業やAtCoderの協賛企業の中で気になった会社を数社受けて就活を終わらせる人がほとんどです。

また、AtCoderが提供している就職・転職活動ができるサービス「AtCoderJobs」を利用するエンジニアの方も、最初の相談ではキャリアについて考えきれている方は多くない印象です。

また、学生の中には、「一生競技プログラミングで生きていきたいんです」と話す方もいます。それが悪いことではないのですが、キャリアについて自分と向き合って考えてみることで、より活躍できる可能性を広げられると思っているんです。

半田:エンジニアのキャリアを広げる、という観点では遠藤さんのご意見も伺いたいです。遠藤さんはこれまで何百人ものエンジニアに会ってきたと思いますが、採用面接の際にはキャリア選択で大切にしている要素を改めて考えてもらうことはしますか?

遠藤:もちろんします。“理想のキャリア”は個人の中にあると思っているので、それをきちんと把握するために、今後目指すキャリアや、入社後に得たいものなどは必ず質問するようにしています

面接を重ねる中でキャリアの考え方には、「将来の目標から逆算して考えるタイプ」と「今夢中になれるものを探すタイプ」の二つに大きく分けられると気づきました。

今ちょうど話題に上がった、競技プログラミングが好きな方には「今、夢中になれるものを探すタイプ」が多い。仕事がつまらなくなったら転職しようと考えているので、計算してキャリアを決める人は少ない印象です。とはいえ、夢中になれる強みを活かせると、高い成長力を持っているといえます。

一方、「将来の目標から逆算して考えるタイプ」は、面白そうなジョブに飛びつくのではなく、「ちょっと嫌だけどキャリアアップにつながるならやる」という考え方をする人が多い。

半田:優劣があるわけではなく、候補者の方がどちらのタイプなのかを理解することが重要ですね。例えば、スタートアップの場合、「数年かけてプロダクトを伸ばしていきたい人」をペルソナとすると、「今夢中になれるものを探すタイプ」は一見合わないように見えて、お見送りになってしまう可能性がある。

でも、やることを分解すると、常に夢中になれるものがある状態かもしれない。同じタイプのエンジニアの方を先例として紹介するなど、エンジニア自身がその仕事に合うかどうかを判断できるようにヒントを提示すること。つまり、相手の視点で物事を見たときに、相手が知りたいことをちゃんと伝える姿勢が、キャリアに寄り添う、ということかもしれません。

エンジニアが「対話したい」と思う発信はできているか

半田:人事はエンジニアがまだ気づいていないキャリア形成のインサイトを捉え、対話する必要がある、という前提で二つ目のトピックに行きましょう。「エンジニアにとって、エンジニア採用人事はどういう存在であって欲しいか」。人事一つとっても、いろいろな役割がありますが、「候補者とのコミュニケーション」に焦点を絞って話したいと思います。遠藤さんは、何を心がけて候補者に向き合っていますか?

遠藤:少し抽象的な話ですが、愛をもって接することですね。

半田:愛ですか?

遠藤:はい。採用面接の場でいうならば、一方的なジャッジをしない、ということ。会社にとってどうか、だけでなく、この人の人生にとってどうかを考えることが大事です。そのためには、エンジニアと目線を合わせて、十分な情報提供をする必要があります。それができれば、候補者とより良い関係性を築けますし、仮にマッチしなかったとしてもいつかタイミングが合えば働いてくれる可能性が生まれます。

半田:無理やり採用して入社いただいても、中長期で見たらお互いにとって不幸ですよね。

遠藤:採用活動とは、「マッチングするための場づくり」です。自分が意識しているのは、三つの主語「I・You・We」(I:候補者、You:会社、We:社会)の要望を全て満たすこと。「この人が自分たちの仲間になってくれたら、会社はどうハッピーになり、社会はどう良くなるんだろう?」と常に考えています。

半田:非常に大事なポイントだと思います。直大さんは、AtCoderJobsを通じて「エンジニア採用人事にこんな価値を発揮してほしい」と感じたことはありますか?

直大さん:人事にはエンジニアと組織をマッチングによって幸せにする役割を担ってくれたら嬉しいです。エンジニアの中には「どの会社に行けば自分は幸せになれるのか?」を把握できていない人がビジネスサイドの方に比べると多い印象があって。

その際、遠藤さんの言うように、エンジニアと目線を合わせる姿勢は特に大切にしてほしいです。相手の情報を引き出すだけでなく、自分たちの情報も十分に伝える。例えば、会社概要をさらっと言われても、相手が興味を持ってくれることは稀でしょう。とは言え、相手が何を欲しているのか、いきなり掴むのは難しいのも事実。フラットな対話を重ねて、お互いに必要な情報をやりとりできる環境づくりができるといいですね。

半田:「どうすればエンジニアに対話したいと思ってもらえるのか?」と逆の立場から自分たちの活動を振り返ってみると、新たな発見があるかもしれませんね。

コンピテンシーと客観的評価を意識する

半田:三番目のトピック「エンジニア採用人事を続けることで得られるものとは?」に進みましょう。

エンジニアの採用活動というと、レジュメを読む、スカウトを送るといった個別の作業がフォーカスされがちですが、この業務を通じて得られるのは決してそのような表面的な力だけではないと思っています。

人のモチベーションについての理論に、ユーダイモニア研究所が掲げる論理に「ikigai」という理論があります。ikigaiとは一人ひとりが感じる「心の豊かさ」であり、それは次の五つの構成要素から成ると定義されています。



その要素の一つ目は、美味しいものを食べて感動するような快楽的欲求の「ヘドニア」。二つ目は仲間同士で楽しく過ごす心地よさである「ヒュッゲ」。三つ目は、映画鑑賞のように受動的に没頭する「受動フロー」。四つ目は、プログラミングに集中するように主体的に夢中になる「能動フロー」。五つ目は、人生の意義を追求する「ユーダイモニア」です。




この理論に則って、エンジニアの欲求に対して、人事が提供できる価値を考えてみました。

ヘドニア領域では、キャリアづくりのために、アドバイスや会社、仕事とのマッチング機会を設ける。フロー領域では、エンジニアが仕事に没頭できる環境の提供。それに向けた経営陣との交渉。ユーダイモニア領域では、エンジニアの仕事の結果が世間に与えたインパクトを伝える。仕事の成果が見える仕組みをつくれる人の採用も当てはまるかもしれません。ヒュッゲ領域では、エンジニア同士がコミュニケーションできる場を作る。エクサウィザーズの場合は、ピッチ大会の企画などをしていました。

遠藤:今、半田さんが上げた提供価値に取り組む上で大切なのは、その提供価値を通じて、どんなコンピテンシーがつくかを意識することだと思います。

例えば、キャリアアドバイスをしてね、と言われたからやるのと、キャリアアドバイスを通じて、どんな力がつくのかを意識するのとでは、同じ仕事を続けるにしても、得られるものが変わってくると思います。採用人事を続けることで得られるものは、振り返って気づくものだと思うので、コンピテンシーは常に意識できると良いのかなと思います。

半田:直大さんは、エンジニア採用人事の経験によってどのような力が得られると思いますか。

直大さん:「いかに組織やエンジニア個人を幸せにするか」という観点で仕事に取り組めば、「組織と個人を幸せにする力」が身につくのではないでしょうか。

「うまい話だけを伝えて、とりあえず入社してもらおう」という考えではなく、もっと広い視野を持って業務に取り組めば、働く人の幸せを高める組織のつくり方がわかってくるはず。それは人事だけでなく、経営のレイヤーでも活きる貴重な能力だと思います。

半田:自分もそう思います。「目の前の候補者や従業員が、どうすれば幸せになれるか?」という観点から業務に臨むことによって、エンジニア人事が提供できる価値だけでなく、得られる能力も広がると感じました。

質問がきています。「人事の仕事は従業員を幸せにすること、というのは素晴らしい考え方だと思います。その場合どう成果を測ればいいのでしょうか」。人事の成果の測り方には会社のカルチャーが出ますよね。少なくとも一つのKPIで図るのは難しいと思います。

遠藤:1on1のような振り返りの場を設けて、上司とともにコンピテンシーの伸びをアセスメントするのは一つの手だと思います。

直大さん:個人的には人事として出した成果は自分で測ってアピールするのがいいと思います。人事のスキルって、エンジニアのスキルのように目に見えるものではないですよね。会社の中で評価されるためには、どの程度貢献しているのかを自ら伝える必要があるかもしれません

半田:抽象度の高い業務を担っている人事だからこそ、自分の仕事は自分で定義する。会社から何が求められているのかを理解し、自分がどのぐらいミートできているかを把握する意識が必要だと思いました。

とはいえ、自分の評価云々ではなく、まずはエンジニアの立場になって考えることを忘れてはいけないですね。


エクサウィザーズ では一緒に働く人を募集しています。興味のある方は是非ご応募ください!


(直大さんがホストを務めるAtCoder公式生放送「あーだこーだー」にエクサウィザーズ社長の石山が出演した動画も是非、ご覧ください)



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