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「正解はない。だから、おもしろい」まちづくり団体を経てカタリバに転職したわけ

※この記事は、2020年1月31日に、認定NPO法人カタリバのオウンドメディア「KATARIBA Magagine」に掲載したものです。Wantedlyからカタリバを知ってくださった方にもぜひ読んでいただきたい記事のため、転載しました。

東京都文京区にある文京区青少年プラザb-lab。カタリバが運営し、自習室、雑談スペース、漫画コーナー、音楽スタジオなど充実ぶりがうかがえる公共施設です。利用条件は、文京区の中高生であること。

b-labの職員・山本晃史は、もともとまちづくり系の団体で働きながら、他にもいくつかの仕事を並行して持つパラレルキャリアを実現していました。そんな彼が、なぜb-labで働く道を選んだのか、聞いてみました。

認定NPO法人カタリバ 文京区青少年プラザb-lab
山本 晃史
1990年生まれ、愛知県出身。静岡県立大学を卒業後、杉並区で町づくりに取り組む団体や外国人支援を行う交流協会などで、パラレルキャリアを築く。その後カタリバに参画し、文京区青少年プラザb-labでユースワーカーとして中高生の余暇活動支援を行うほか、探究的な学びについて学校内外でのプログラムを担当。

若者が楽しく生きやすい世の中に

ー山本さんがユースワークに関心をもったきっかけから教えてください

大学在学中ですね。もともと「NGOの職員になりたい」と思って静岡県立大学の国際関係学部へ進学したところ、ある先生と出会いました。その先生は元少年院の教官で、大学で教鞭をとりながら、就労支援を行うNPOを運営していて。先生の影響で学内にも社会活動系のサークルがいくつもできていて、ぼくも国際協力系のサークルに入ることにしました。

そこで出会ったのが、両角さんというひと学年うえの先輩です。両角さんがユースセンター*をつくろうというサークルを立ち上げようとしていて、「おもしろいことやるから一緒にやらない?」と声をかけてもらって。その時はよくわからなかったけど「やります」と。

(※ユースセンター:北欧を中心に発展している、中高校生世代が放課後の余暇活動を過ごす場所)

最初はユースワークに関する興味も知識も全くなかったので、とにかく勉強しました。青少年分野の社会問題に詳しい先生を招いて勉強会をしたり、高校生のチャリティー吹奏楽団の手伝いをしたり。とくに吹奏楽団と過ごした半年間は大きいですね。学校も学年もバラバラの混成チームが、練習したり方向性を議論したり、自分たちで進めていく。ときには壁にぶつかったりする。その姿を近くで見ていて、エネルギーの凄さに圧倒されました。

より気持ちが強くなったのは、大学2年の頃です。ユースワークの先進国であるスウェーデンへ行く機会がありました。現地で目の当たりにしたのは、自分とほぼ同い年のひとたちが「同世代のリアルな声を国会に届けていくことが自分たちの役割だ」と語る姿。もう圧倒されてしまって。「同世代なのにすごい」とシンプルに感じました。

そういう社会を日本でもつくってみたい。そして若者たちが楽しく生きやすい世の中にしたい。そう考えたことが、ユースワークに関わることを志したきっかけです。

地域に関わりながら色々なことをやってみた

ーどういう経緯で現在の仕事に行き着いたのでしょうか?

いわゆるナビサイトに登録して、みたいな就職活動は1度もしていません。どちらかというとサークル活動の延長で決まっていった感じですかね。足がかりになったのは、大学時代の海外でのインターン経験でした。

国際関係学部なので、休学して語学留学へ行く人がすごく多かったんです。サークルの先輩たちも、ユースワークを学ぶためにイギリスやスウェーデンに留学していました。その姿を見て、僕もフィンランドに学びに行きたいと思っていたんですが、当時壊滅的に英語が話せなくて。

一旦3ヶ月フィリピンへ語学留学して、その後ヨーロッパへ行く方法を選びました。ユースセンターへ片っ端からメールを送ったところ、フィンランドのユースセンター1ヶ所が受け入れてくれて。インターンとして働きながら、他のユースセンターにもたくさん足を運びました。このプロセスを経てユースワークへの興味がさらに増しました。

ーでは、帰国してすぐユースワークに関わろうと?

はい、と言いたいところなんですが、準備段階で怖気付いてしまって。今までは先輩や仲間がいたけど、急にひとりになり不安になった部分もあったかもしれません。団体をつくることもできず、フラフラしていたところ、東京都杉並区の市民自治や市民参画を目指すまちづくりに取り組む団体に声をかけてもらったんです。

「聴き合うことから、まちづくり」というコンセプトを持った団体で、まちの人たちの声を聞くこと、世代も立場も国籍も越えて集まって語り合うことを大切にしていたので、今後につながる大事な考え方が身につくような気がして、入職を決めました。

あとその団体の代表が、いわゆる副業というか、収入源を1つに頼らずに複数の仕事をするという生き方をしている方で。これってまさに『未来の働き方』だなと思ったんですよ。ぼくもその姿を追ってみたいなと思い、複数の仕事を並行して持ちながら、東京のローカル地域で暮らすという生活をスタートさせました。

ーまちづくり団体以外には、具体的にはどんな仕事を?

色々やっていたのですが、1つは杉並区で外国人支援を行う交流協会です。区内に住んでいる外国人の方の相談に乗ったり、日本語教室や多文化理解のイベントを開いたり、国内外の交流自治体との交流促進を行ったりしていました。この時の上司だった人がきっかけで、20年以上続くジャズイベントを運営する「阿佐谷ジャズストリート実行委員会」にも参加したんですよ。ジャズや阿佐ヶ谷が好きだという人たちが集まってつくるイベントなので、地域の中で交流範囲がすごく広がって。これがきっかけで、自分が住む地域にもっと深く関わっていきたいと思うようになりました。

そんな風に過ごしていたら、まちづくりを通じて関わるようになった人たちと、常設で集まれる場所があればさらに関係性が変わりそうだなと考えて。場所が必要なら、自分の家を居間として開放すればよくない?と思いついて、シェアハウスをつくりました。

(シェアハウスをつくって居間を交流の場として開放したときの写真)

そうこうしているうちに、仲間になった社会人数名で「都市と地方を仕事でつなぐ、週末移住」というコンセプトで活動できたら、おもしろいんじゃないかという話になって。ぼくが杉並区の交流自治体と関わる仕事もしていたので、交流自治体の1つの新潟県小千谷市を週末の移住先にすることにしました。小千谷市滞在中はデザインの仕事をしたりワークショップを開催したり。週末の空いている時間に行って、スキルを活かして仕事をしていました。小千谷市への週末移住の活動は今も続いています。

新しい社会を担う世代のために

ーものすごく忙しい毎日を過ごしていたと思うのですが、なぜカタリバに?

「自分の時間を誰のために使いたいのか」を考えたことがありました。当時の役割は、市民活動の中間支援。やり甲斐はありました。ただ、いろいろ考えるなかで、これからの「新しい社会を担う世代」に自分の人生をかけていきたいと思ったんです。

そう考えたときに思い浮かんだのが、ユースセンターでした。心の奥底にあったユースワークに関わりたいという気持ちが再燃して、「チャレンジしてみよう」と。ただそのときにとあるユースセンターで働いている方に相談したら、「現場の経験がないとユースセンターはつくれない」と言われて。

まずは働きながら現場経験を積もうと、国内にあるいくつかのユースセンターの中から、スキルアップもできそうなカタリバが運営するb-labに決めました。

ーカタリバのことは知っていたんですか?

もちろん。中高生向け施設を運営している有志職員による勉強会に参加してb-labを視察したこともあったので。無事入職が決まり、「b-labで働きたい」という希望も通ったのでホッとしました。

実際に働いてみて魅力に感じるのは、チャレンジの機会を与えてくれること。目的があれば外部の勉強会にも行かせてくれる。場合によっては、補助を出してくれることもあります。

この間参加して刺激になったのは、カタリバとフローレンスが合同で開催した新人職員研修です。別のNPOの若手職員とチームを組んで、社会課題を決めて、解決する方法を考えるというプログラムだったんですが、そのときのメンバーとはすごく仲良くなって。いまだに定期的に会うし、刺激も受ける。やりたいと言ったことをできる限りカタチにしてもらえる環境だと感じますね。

ーこれまでの経験でb-labの運営に還元できていることはありますか?

大学時代から今までの経験や実践を通じて身につけてきた知識が、還元できている感覚はあります。ただ、それよりも嬉しいのは中高生の日常の伴走者でいられることですね。彼らが悩んで、それでも挑戦する姿をそばで見られるのは純粋に楽しいし、やりきる姿には元気がもらえます。

もちろん難しいこともあります。すごく多感な世代に接するので「あの声がけでよかったのか」「このタイミングは間違っていなかったかな」って悩むこともしばしば。でも、いくらぼくらが悩んだところで、進むべき道を決めるのは彼らなんですよね。ぼくらの発言は彼らの人生におけるプラスアルファでしかない。だから、尊重しつつ、彼らから主体を奪わないことが大切なのかもしれません。まだ試行錯誤しているところです。

中高生と一緒に居場所をつくりたい

ー山本さんは今後b-labをどんな施設にしていきたいですか?

今よりももっと「中高生がつくるb-lab」を実現していきたいです。中高生ってもっともっとb-labをよくできると思うんですよ。ルールだったり、何かトラブルが起きたときの対処法だったり。実際、中高生発の企画もすごく増えてきました。例え小さなことでも、彼らを場づくりにどんどん巻き込んでいくことで、中高生がつくるb-labをさらに実現していきたいと思っています。

ー山本さんは常に主語が「中高生」だということに驚いています
 そのなかであえて「山本さん自身」を主語にするとしたらどんなことがしたいですか?

きちんと仕組み化していくことですね。何から始めればいいのかわからないのが実情なので、中高生と一緒にb-labの次のステージをつくっていきたいと思います。

そのためにはもっと中高生たちとコミュニケーションを取らなければいけないし、より踏み込んだ関わり方をしていかなければいけない。彼らの“心の声”が聞こえたときに、逃さないようにしていくコミュニケーションを取っていく必要はあると思います。

もうひとつ、チャレンジという意味合いでは、経済産業省が取り組む新しい教育を考える「未来の教室」という取組みで、カタリバが実証事業の1つに選ばれた「ルールメイキング」プログラムに関わっています。先生や生徒、保護者と学校のルールをつくっていく事業なんですが、個人的には大きな挑戦ですね。日本における学校って、中高生にとっての「社会」なんです。ルールはすぐに変えられないと思いがち。

でも、実際はそんなことないんですよ。だから、特に中高生には「自分たちでつくった、変えた」という経験を積んでほしい。先生や保護者とコミュニケーションを通じて、自分の意見が反映されたという経験を。その経験があれば、いずれ学校を巣立って「社会」の意味が拡張したときにも同じようにやっていける。そのあたりも力になっていきたいです。

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