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リモートで予約〜受診のすべてが完結。オンライン診療のプロダクト開発秘話

withコロナ社会において、私たちは不要・不急の外出を避ける新しい生活様式と向き合う必要性が生じました。この状況下において「持病や生活習慣上の悩みを持つ方々への医療を、いかにして安全に提供し続けていくか」が重要なテーマになっています。

Linc'wellは、スマートフォンやPCがあればリモートで予約から受診まですべてが完結するオンライン診療サービスを提供しています。ユーザーは受診後に各種決済方法*で支払いを行い、最寄りの薬局または宅配で薬を受け取ることが可能。外出をしなくても、自宅に居ながら医師の診療を受けられるのです。

オンライン診療の開発を支えているのが、テックリードの岡野雄起とプロダクトマネージャーの岩佐克。オンライン診療をより良いサービスにするために心がけていることや開発の醍醐味について2人に聞きました。

*…支払い方法として、2021年8月時点ではクレジットカードやGMO後払い(コンビニ決済でも可)、代金引換、Amazon Payなどを選択できます。
テックリード 岡野 雄起(写真中央)
前職ではWebマーケティングコンサルティング企業で新規プロダクトの立ち上げを経験。1年ほどフリーランスエンジニアとして働いた後、「社会のインフラになれるサービスを開発したい」「自分たちの力で会社を大きくしていく経験をしたい」との思いからLinc’wellに参画。現在はリードエンジニアとして、主にオンライン診療のサービス開発に関わる。
プロダクトマネージャー 岩佐 克(写真右)
前職はリクルートライフスタイルでプロダクトマネージャーとしてヘルスケア領域のサービス立ち上げを経験。
退職後、2020年1月に自身が代表取締役を務める株式会社パワーヘルスを立ち上げ。法人経営と並行しつつ、同年4月から業務委託としてオンライン診療のプロダクトマネージャーを担う。

社会情勢の変化によりオンライン診療の必要性が高まった

――まずはオンライン診療のサービス概要についてお聞かせください。


岡野:スマートフォンやPCがあれば自宅などで手軽にクリニックの予約や医師の診察を受けることができ、薬の配送までが完結するサービスです。現在は低用量ピルやAGA治療薬、禁煙治療薬など、自費診療の薬を主に取り扱っています。

こうした薬は継続的に服用する必要がありますから、定期配送を行うための機能もサービス内で提供しています。一般的なECサイトでできることをオンライン診療でもできるようにして、スムーズな体験をユーザーに提供することを心がけています。

――サービスのアイデアが発案されたきっかけを教えてください。

岡野:Linc'wellはクリニックフォアグループという医療機関とパートナーシップを締結して事業展開しており、経営層のメンバーはその強みを生かしたサービス案を検討していました。その中で「処方薬や市販薬、パーソナルケア製品をオンラインで販売するアメリカの医療会社Hims&Hers Healthのモデルを日本でも実現できないか」という案が挙がりました。

Hims & Hers Healthは、体の不調があるが薬が必要とまではいえない方にサプリメントやシャンプーなどを提供し、それでも良くならない方にはオンライン診療を行うサービスを提供しています。これをLinc'wellとクリニックフォアグループで実現しようという方針になり、2019年にサービスのプロトタイプの開発が始まりました。

そうした中、2020年から新型コロナウイルスが世界的に流行し、同年4月に厚生労働省が「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」という通達を出しました。これにより初診におけるオンライン診療の規制が緩和され、サービスの必要性が急速に高まったため、スピード重視で開発を進めて4月中にリリースを行いました。

岩佐:私はオンライン診療サービスのリリースが行われた4月の半ばに業務委託としてLinc'wellに参画し、そこから現在までサービスのプロダクトマネージャーを務めています。

――プロダクトの立ち上げにおいて工夫されたことはあるでしょうか?

岡野:プロダクト開発の初期フェーズではスピード勝負という側面が強く、とにかく早くサービスを世に出すために、作り込む機能とそうでない機能の取捨選択を行いました。例えば初期の頃は、患者さんへの問診を行う機能をGoogleフォームで代用したり、複雑な仕様になりそうな機能を開発のスコープ外にしたり。まずは必要最低限の機能を実装し、とにかくオンライン診療のサービスをユーザーに提供することを第一にして、開発を行いました。

手軽さを第一にしない

――岩佐さんがプロダクトマネージャーに就任されてからは、どのような方針で機能改修を行ってきましたか?

岩佐:サービスをリリースしてから現在までの約1年間で、認証方法や決済方法を充実させるなど、他サービスでは当たり前にあり、無くては利用の障壁になってしまう機能の改善と、自費診療用の電子カルテなど急激に増えた需要に対応する機能を構築していきました。

また、先ほど「初期はGoogleフォームで事前問診を実施した」という話が岡野からありましたが、徐々に改良を重ね、全てのフローがオンライン診療のサービス内で完結するようにしました。それに伴い、過去に患者さんが入力した問診情報を保存・取得できるようになったため、ステップごとのコミュニケーションを違和感のない流れに変えていきました。

例えばGoogleフォームを用いていた時代には、2回目の問診だとしても「あなたは初めて問診を受けますか?」などの質問をするしかなく、ユーザー体験を損なっていましたから。さらに、最近では使い心地の向上や、なめらかな診療体験を提供するための改善に手を加えています。

――プロダクトマネジメントにおいて大切にしていることはありますか?

岩佐:ユーザー体験を意識しつつも、手軽さを第一に“しない”ことを、ずっと大切にしています。一般的なサービス開発においては、コンバージョン率を向上させるために画面のステップ数やユーザーが入力する項目数を減らすケースが多いです。

ですがオンライン診療では、「注意事項を読んでください」のみで終わらせず、患者様に“読んで”、“理解して”、“回答してもらう”ことを大切にして、インタラクションコストが増えたとしても大事な情報をしっかりと伝えるようにしています。

患者さんの多くは「本当にオンラインで適切な診療を受けられるのだろうか」と不安な気持ちを抱いています。コンバージョン率のために入力を楽にしすぎると、患者さんの不安を煽ることになりかねないですし、医療が軽く見られてしまう危険性もあると思いました。そのため、必要な項目と患者さんの体験のバランスを鑑みつつ、情報の取捨選択を続けています。


オンライン診療の事前問診の例。「いかにして患者さんに安心感を与えるかを大切にした」と岩佐は語る。

――情報の取捨選択を行う際には、クリニックで働く方々との連携が必要になってくると思います。どのような手段でコミュニケーションをとっていますか?

岩佐:これは私たちのサービス開発環境の大きな特徴ですが、クリニックで働く医師や看護師、医療事務の方などがSlackチャンネルに参加しており、チャットベースで日常的にやりとりをしています。また、オンラインミーティングなどで開発チームとクリニックで働く方々が直接的に議論することもあります。サービスのレビューを行う際にも医師が参加しており、医療従事者としての視点からコメントをしてくれます。

また、オンライン診療を実施するにあたり、電子カルテなど他のシステムとの連携も必要になるため、医師だけではなく看護師や医療事務の方ともコミュニケーションをとります。医療の現場にいる方々との距離がかなり近いことは、Linc'wellのサービス開発の大きな特徴ですね。


クリニックで働く方々が参加するSlackチャンネルでのやりとり。医師や看護師、医療事務の方々から早期にフィードバックを得られることにより、サービスの改善が高速に行われる。

対面でしか実現できないことを、無理にオンラインでやらない

――対面での診療と比較すると、オンライン診療では患者さんから得られる情報に制約があるのではないかと思います。その状況下でもより効果的な診療を行うため、工夫した点があれば教えてください。

岡野:実はあまりないですね。というのも、やはり対面と比べるとオンラインでは取得できる情報量が少ないので、例えば触診しなければわからないことを、無理にオンラインで診察しないことなどを決めていました。

オンライン診療ならではの工夫があるとすれば、薬を服用し始めてからのフォローを積極的に行っていることでしょうか。診療を行った後に定期的に服薬している患者さんに対して、年に1回くらいの頻度で効果の確認などを行っており、何か不安や問題がある場合には医師からその方へ連絡するようになっています。


岩佐:とはいえ、まだ年に1回のペースなので、今後はより手厚くフォローできるようにしていきたいですね。過去の診療データなどをベースとして、定期的な健康確認を実施したり、より密なコミュニケーションをとったりといった施策を準備しています。

岡野:タッチポイントを増やすことで、実店舗だけではできない、オンラインだからこそできるような体験を増やしていけるといいなと思っています。

日本におけるオンライン診療のスタンダードを構築する仕事

――今後はオンライン診療をどのように発展させていく予定でしょうか?

岩佐:サービスで提供している予約、問診、受診、決済という4つのフェーズを、流れるような体験にしていきたいです。現在は、それぞれのフェーズがぶつ切りの体験になってしまっています。冒頭でもお話ししたように、オンライン診療はとにかく早くサービスを世に出すことを優先してきたため、ユーザー体験を向上させることが後回しになっていた側面があります。今後はそれを改善し、より使い勝手の良いサービスにしていきたいです。

また、1年以上にわたりサービスを運用し続けたことで、患者さんの各種データが蓄積できてきました。個人情報が特定できないようにマスキングしたうえでデータを活用することで、「過去にAGAの治療を受けた方は、このような薬を飲むことで改善した」とか「つらい生理痛で苦しんでいた方が、低用量ピルの服用により痛みが軽減した」など、患者さんの不安を軽減できるような情報を将来的にはサービス内で提供できるようになると思います。


――意義の大きい仕事ですね。では最後に、オンライン診療のサービス開発に携わる醍醐味ややりがいについて教えてください。

岩佐:日本でオンライン診療が認知され始めたのは新型コロナウイルスの流行がきっかけでしたから、世の中にサービスの前例がほとんどありません。その状況下で、自分たちがアイデアを考えて機能を実装し、日本における先駆者になっているというのは、非常にやりがいが大きい。オンライン診療のスタンダードを作っていくという自負と責任感があります。

世の中には、持病や生活習慣上の悩みを持っているものの新型コロナウイルス感染の不安からなるべく対面での診療を減らしたい方や、家庭の事情や仕事の都合などで通院が難しい方などが数多くいます。そうした方々に対して、オンライン診療を提供できている。自分たちの仕事を誇りに感じています。

岡野:オンライン診療は社会情勢の変化と密接に関連しているサービスだと感じます。規制緩和の影響で誕生したサービスですし、人々の意識が「オンラインで実施できることは、なるべくオンラインで」という傾向に変わってきているからこそニーズも伸びています。業務の中で、世の中の変化を踏まえつつサービス開発を進めていく。そして、変化を自分たちの力で後押ししていく。Linc'wellだからこそできる経験だと思いますし、そこに大きなやりがいも感じています。

<Linc'wellはともに働く仲間を募集しています>
・VPoE
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