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エンターテイメントの力で歯磨きが楽しい習慣になる。「LITALICO×ポケモン」が実現するまで

「障害のない社会をつくる」をビジョンに掲げるLITALICOは、その一環としてアプリ開発も手掛けています。テクノロジーを活用して、教育×福祉×エンターテイメントをテーマに世界中のすべての人の可能性を拡げることを目的としています。

それらのアプリを作っているエンジニア2名が、世界的人気を誇る「ポケモン」のゲームアプリ開発メンバーとして参加しました。本記事では、福祉事業を行う会社のエンジニアがなぜ『ポケモンスマイル』の開発に参加できたのか、LITALICOでアプリ開発を手掛ける比護さん、横山さんとポケモン社のディレクターを務める押野さんにお話を聞いてきました。

■テクノロジーで社会課題を解決する

―LITALICOではどのようなアプリを開発しているのでしょうか?

横山:アプリ開発を手掛けるFUN STUDIOが立ち上がった当初は、発達障害のあるお子さんの支援など、各事業部の課題をテクノロジーで解決することを目的に、アプリを開発していました。最初に作ったアプリは「どうぶつまるカード」という、子どもの学びを育むパズルゲームです。それからも、弊社の発達障害のある子ども向けの学習教室の現場のスタッフの声を聞きながら、声の大きさが調節できない、発語によるコミュニケーションが難しいといった、発達障害のあるお子さんの困りごとの解決を手助けするようなアプリを作ってきました。

株式会社LITALICO 横山賢吾
2016年に新卒でLITALICO入社。アプリ開発を手掛けるFUN STUDIOで全てのアプリの企画コンセプト設計~実装を担当。

比護:発達障害のある子ども向けに作ったアプリでしたが、ふたを開けてみると幅広いお子さんや大人にとっても役に立つ側面があることがわかったんです。そこで、障害の有無に関わらず、多くのお子さんや保護者の困りごとを解決できるようなアプリを作りたいという思いで2年前に開発したのが「はみがき勇者」です。私の子どもが歯磨きを嫌がっていたことがきっかけとなり、その時横山が実験していた画像認識技術を用いたら、歯磨きを楽しく習慣化できるアプリを作れるのではないかと思いつきました。

横山:はみがき勇者は、スマートフォンのフロントカメラをプレイヤーに向け、歯磨きをすることでモンスターを攻撃し倒していくユニークなゲーム形式で、歯を磨くことの習慣づけをサポートします。リリース後は、SNSを中心に大きな反響があり、「はみがき勇者のおかげで、子どもが朝晩歯磨きをやることになった!」「はみがき嫌いの我が子が、『パパ歯磨きしようーー!』って言ってくる」といった声をいただきました。

はみがき勇者:https://www.wantedly.com/companies/litalico-co/post_articles/141372

■ダメ元で挑戦したポケモン社へのアプローチ

―どのようにしてポケモン社のゲームアプリ開発にジョインすることになったのでしょうか?

比護:先ほどお話した「はみがき勇者」 のはみがき検出技術は、幅広い端末で動作させるために横山が一年以上かけて開発したもので、このアプリだけで終わらせてしまうのはもったいないと考えていました。どうにか世界中の皆さんに使っていただく方法はないかと、色々な企業にお話を聞いたり、歯医者さんにお話を聞いたりして回っていました。

そのことを弊社の社長に話すと、「もしどんな会社ともコラボできるとしたらどことする?」と聞かれました。私は「世界に通用するコンテンツといったら、ポケモンしかないと思います」と答えたのですが、「じゃあ、ダメ元でお願いしてみたら?」とあっさり言われてしまったんです。社長に相談してしまった手間、後が引けなくなってしまったこともあり(笑)伝手をたどって、ダメ元でポケモンさんにお声がけをしました。

そしたら、お話を聞いてくださることになって、慌てて企画書を作りました。そこからは具体的にお話できませんが、「はみがき勇者」の技術とポケモンを組み合わせた、『ポケモンスマイル』を開発することになったんです。

▲株式会社LITALICO 比護賢之
グリー株式会社で「釣り★スタ」や「探検ドリランド」など、ソーシャルゲームのヒット作品を開発。2016年にLITALICOに入社し、FUN STUDIO室長としてアプリ開発の企画~開発を担当。

―「ポケモンスマイル」はどのようなアプリなのですか?

押野:『ポケモンスマイル』は、「ポケモンと一緒に歯磨き習慣を身につける」というコンセプトをもとに作られたアプリです。スマートフォンのカメラで歯磨きの様子を映すことで「むしばきん」を攻撃し、現われたポケモンを捕まえることができます。子どもとその保護者がメインターゲットになるので、UIや導線部分をシンプルに設計したり、子どもにも受け入れやすい音楽を取り入れたりと、細かな工夫をたくさん施しています。デザイン面では、保護者や子どもから人気の高いカナヘイさんにイラストを担当いただき、親しみのあるデザインにすることができました。

また、頑張って歯磨きをすると、「ポケモンキャップ」や「ハミガキメダル」が貰えて集めることができる機能や、歯磨き中の写真を後からデコレーションできる機能なども加えています。はみがきのご褒美を用意することで、毎日続けたくなるような仕組みにすることを心がけました。

■「ゲームの定義を広げる」可能性を感じた

―ポケモン社は、最初にお話を受けたとき、どのように思いましたか?

押野:私は昨年任天堂から、ポケモン社に転職をしてきたので、最初に手掛けたプロダクトが『ポケモンスマイル』になりました。初めて「はみがき勇者」に触ったとき、「歯磨き」をテーマとして日々欠かせない生活習慣を題材にするという着眼点が面白い!と思いました。私自身、ポケモンに転職して多くの人たちの日常生活の役に立つゲーム開発など、「ゲームの定義を広げる」ような挑戦をしたいと思っていたのですが、今回の『ポケモンスマイル』は、その一歩になったのではないかと思っています。

 私も2歳の子どもがいるのですが、比護さんのお子さんと同じで、歯磨きを嫌がるようになってきたので困っていました。その時にお話をいただき、「はみがき勇者」の技術とポケモンを組み合わせたら、保護者や子ども達を笑顔にできるようなアプリが作れるのではないかと、すぐに完成形のイメージが湧いたことを覚えています。

株式会社ポケモン 押野洋介さん
任天堂株式会社で『スーパーマリオメーカー』シリーズをはじめ、数々のプロダクトのディレクターや開発を務める。2019年の7月に株式会社ポケモンに入社し、プラットフォーム戦略部に所属。

―協働するなかで印象的だったことはありますか?

比護:押野さんは常に顧客目線を大事にしていることが、とても学びになりました。私自身は小規模なアプリ開発においてはコストを抑えるために経験と勘を頼りにしてしまうことが多かったのですが、顧客目線を大事にして、クオリティを徹底的に高めようとする姿勢は見習わなければならないと思いました。

押野:今回は特に、2~5歳くらいの年齢のお子さんの歯磨きの仕方は自分の感覚ではわからなかったので、未就学児の子どもがいる社員にモニターを何度もお願いして、本当に役に立つゲームアプリになっているのかを検証しました。そこで、予想以上に反響が良かったので、安心して開発を進めることができました。

比護: 私たちは「社会課題をエンターテインメントで解決する」ことを目指して活動しています。押野さんがおっしゃっている「ゲームの定義を広げる」という考え方とアプローチとは異なりますが、目指すゴールが一致したことで今回のようなコラボレーションが実現できたのだと思います。


ー最後に、皆さんがそれぞれ大切にされているスタンスや今後手掛けていきたいことなどを教えてください。

押野:私はこれからも「ゲームの定義を広げる」ことを重点的に考えて、挑戦していきたいです。ビジネスとして成り立つという視点も考えつつ情報収集を継続して、日常の役に立つゲームを作りたいと思っています。

比護:個人的には世の中にすでに代わりがあるものは作らないようにしています。アプリという形式にこだわるのでなく、たとえば動画だったり、紙のようなアナログなものでも、そちらの方が優れているならそれを使ったほうがいい。アプリやサービスにする意味があるのだろうかという問いかけは常に心がけて、これからも世の中の課題を楽しく解決していきたいと思っています。

横山:技術的にどうすれば良いか分からないから見送るといったことをなくし、新しい技術やまだ知らない分野の知識は積極的に手を動かすことで習得するようにしています。最新の論文で発表されるような技術もアプリに応用することで、新しい表現や体験を実現する選択肢を増やすように意識して、社会の課題解決に繋げていきたいです。

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