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デザイナーが同調圧力に負けたら存在価値がない

『みんなと同じ』がバカにされてた多摩美時代

何年か前にアントニオ猪木が『バカになれっー!』って叫んだり、
いろんな人にビンタしたりしてたけど、あれって非常識の極みですよね(笑)
いきなり私がマネしたら、きっと病院に入れられる(笑)

いや、逮捕される(笑)

でも、あれはビジネス的にも、きちんと成立していて
周りの人を元気にしてましたよね。
実は価格表まである。『ビンタ』は××万円で『ダー!!』は×××万円だとか。

社会においても今まではあたり前だと思っていたことが通用しなくなって、
新たな常識が作られていくというのは良くあることだと思ってます。
エンターテインメントは基本的に『普通じゃない』がないと成立しない。

自分は大学生時代(多摩美術大学グラフィックデザイン専攻)に周りの友達によく
「おまえは普通だよなー」って言われてました。

もちろん、悪い意味です。

『普通』というのは『つまんないヤツだな』とほとんど同じ意味です。
美大の中では『変わっているひと』ほど、
尊敬される空気が漂っていて、
そういう意味では一般世間とは真逆でした。

例えば学生食堂でキラキラした女性が近くを通ったんで、
何げなく顔をみたら見事に髪の毛がない!
ツルッツル!完全に剃ってた。
私なんかはホントに『普通』なんで
「えっ!」とか思っちゃて2度見とかするんだけど(笑)
他の学生たちなんかは全く見もしない。
たぶん『驚く』という反応が『普通』なので、それがかっこ悪い。
「髪の毛がない女性がいたって別にいいじゃん、そんなの驚くヤツは青いな」的な(笑)

正直いうと最初は慣れませんでした。
大学祭では全身に金粉を塗った若い男女が、
焚き火の周りを飛び跳ねて、金粉のせいで皮膚呼吸できずに
救急車を呼ばれてたり、友達がいきなり
「おれ!新宿の浮浪者と暮らしてその様子を作品にする!」とか言い出したり…。

最初は「こいつらおかしいよ」と思っていたけど、
そのうち私は、彼ら彼女らには『普通じゃない特別な何か』を持っていたことに気付き始めます。

そして、社会に適合しにくい、いわゆる『短所』はたくさんあるんだけど、
実は他人を傷つけるような致命的なところはあまりなく、
笑ってすませられることが、ほとんどだということにも気づき始めます。

さらに変わり者の巣窟である大学から社会を見渡すと、
みな『人と違うこと』を怖がるあまり、
無理をして『普通』になっているんじゃないかと…。
そして「この国の同調圧力はハンパないな。気持ち悪いな」とも感じていました。
今はより、その同調圧力が強まってきていると感じています。

『おなじような会社の価値はダダ滑り

実は私が2011年からのぼり旗の市場に挑戦しようと決めてから、
ライバル会社に感じたことも同じようなところがあります。

みんな『普通』みんな『横並び』。
それは『価格競争』『根拠のない暗黙のルール』
『他社の模倣があたりまえ』のいびつな業界体質。数えればキリがありません。
どこで買ってもだいたい同じなんです。

つい先日、某のぼり旗制作販売会社の
社長さんにお越しいただく機会がありました。
そこの会社は多数ののぼり旗のデザインをされていて
その数の多さに圧倒されます。販路も地道に開拓され、
たぶんここの会社のカタログが日本で一番広まっているのだと思います。

その社長がこう嘆いていました。

社長「井口さん聞いてくださいよ。
私たちがていねいに作ったのぼり旗のデザインカタログを
業界大手の○○○○○社と○○○○○○○○社はあっという間にパクるんです。
○○○○○○はすぐに私たちのカタログを中国に送って模倣データを作らせます。
あっという間にその会社のホームページに
私たちのデザインとほとんど同じものが並ぶんです」

そういうとその社長は、スマホを取り出して自社のカタログと
その会社のホームページに載ってる模倣された商品を何点もみせてくれました。

私「あ、ホントだ。一部分だけ変えてますけど、そっくりですね」

社長「本当にアタマにきて、相手の電話したこともあります。
その場では謝ってすぐにホームページから取り下げるんですが
また翌日には同じようにアップされているんです」

私「訴えないんですか?」

社長「裁判に勝ったとしてもなんだかんだで訴訟費用の方がかかるんです。
だからほかの小さな会社もみーんな泣き寝入りです。
大手はSEOにお金もかけているんで
模倣した側が検索上位で儲かっているというのが現状です」

私「ダサいですね」

社長「えっ?」

私「いや、もちろん摸倣してる会社がですよ」

どうりで世の中ののぼり旗のデザインが似てるわけだ…。
つまらない。実につまらない。

うちの会社は儲かるためによその業者のカタログを
パクるようなことは禁じています。
というか、そもそもそんなプライドのないデザイナーはひとりもいません。
遠回りでも、丁寧にオリジナルを作りたい。
あからさまに模倣する業者が業界の大手として君臨している
状態こそ異常だと思っています。

私はパッと見は普通なんだけど実は人と違うことが大好きで
普通でないことがやりたくて、この事業をやっているのかもしれません。

普通のデザイナーは、やっぱり大きなクライアントの仕事をやりたいんですよ。

私は、むしろ小さなお店のデザインレベルの底上げをしたい。

のぼり旗は気軽に手にしていただける商品です。
そこで人と違う商品でお客さまに喜んでもらいたいと思っています。

だけど、時代はどんどん進んでいて
デジタルサイネージの仕込みもやっています。
それも小さなお店向けのプラットフォームを作ろうとしています。
レベルの高い動画コンテンツを小さめのお店にも
普及させたいと思っています。

ミラノ・モンテナポレオーネ通りはマクドナルドも茶色

デザインレベルの底上げで思い出したんですが
10年以上前なんですけどイタリアのミラノに行った時に
モンテナポレオーネ通りというハイブランドがひしめく通りの近くに
よく見るとマクドナルドがあって驚いたんです。
なんと『赤と黄色』でおなじみお店が全部茶色だったんですよ。
きっとミラノの条例なんでしょうね。景観が美しい。

そこからいろんなポスターだの、看板だの、サインデザインだの
いろんなデザインが気になってきて
目を凝らしているとどれもこれもデザインのレベルが高い。
というよりヘンなものが極めて少ない。

遠い道のりかもしれないけど、
地道にコツコツと小さなお店のデザインレベルの底上げに挑戦したいと思います。
人と違うことを恐れずに正々堂々と誰にも後ろ指を刺されることのない
誠実で誇りの持てる仕事をし続けたいと思っています。

遠回りのようでいてそれが一番の近道だと考えています。

19世紀の作家ホーランドはこう言っています。


「早く成長するものはすぐ枯れ、遅々と成長するものは永続きする」と。


私が本当につくりたいのは、私が死んでからも発展しつづける人道主義的なチームなのです。

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