CS領域のベストプラクティスはどこにある?「#CSサミット #1」レポート!

SaaSビジネスの成長において重要な役割を果たす、カスタマーサクセス(CS)。事業推進におけるCS組織の存在感は日に日に大きくなり続ける一方で、具体的な打ち手については事業者が各々手探りの状態で正解を模索しているのが現状です。

2019年10月、Dropbox / SmartHR / PLAID / ウォンテッドリーの4社が集まり、CS戦略や業務を行う中で得たプラクティスを共有する場を設けました。

果たしてCS領域に散らばる課題の特効薬となるような「銀の弾丸」はあるのか? 来場者の質問も交えながら議論が始まります。

登壇者情報(写真左から順に)

高橋 昌臣(SmartHR, Inc. VP of Customer Success)

2005年にケータイ動画サイトの運営を担当した後、デコメサイト・OpenPNEを使ったSNSの企画運営に従事。その後、2009年からMDパートナーズの立ち上げメンバーとして、自社サービス PetitGiftの企画・開発など多岐に渡る領域を担当。2016年に SmartHR に参画し、カスタマーサクセス組織をイチから立ち上げ、顧客の成功(カスタマーサクセス)をサポートする。

清水 博之(PLAID, Inc. 執行役員)
大学卒業後、日本ヒューレット・パッカードに入社。パートナー営業として約5年半在籍。その後、2010年にグリーへ転職。シニアマネージャとしてAppstore/Googleplay向けのゲーム事業を中心にパートナービジネスを担当。2014年10月よりプレイドに参画。

是村 潤(Dropbox Japan K.K. Customer Success Lead)
沖縄生まれ沖縄育ちの純沖縄人。 アメリカの大学院を卒業後、一貫して IT 業界に身を置く。新卒から順に、大手日系、日系ベンチャー、外資系日本オフィス初期メンバー、前職では日本マイクロソフトにて Technical Account Manager としてエンタープライズ支援。現在はDropbox Japan の CS Lead として、法人のお客様の Success を支援する。

恩田 将司(Wantedly, Inc. Customer Success Manager)
1986年生まれ。慶應義塾大学を卒業後、リクルートスタッフィングに入社。営業から、経営企画、新規事業の立ち上げなど、幅広く経験。30歳の節目で、リクルートテクノロジーズに入社し、エンジニアにキャリアチェンジ。 2019年4月にウォンテッドリーにジョイン。現在はカスタマーサクセスマネージャーとして、エンジニアリングの知識を活かしながら、クライアントの最高の体験を提供できるよう奮闘中。

ツールは何を使う? チーム編成はどうする? 4社の事例紹介

第一部は登壇者によるライトニングトーク。10分の持ち時間で、各社の試みを発表します。

バーチャルカスタマーサクセスジャーニー (Dropbox Japan 是村潤氏)

先陣を切るのは、Dropbox Japanの是村潤氏。同社では、自社プロダクトのドキュメントソフトDropbox Paperを活用し、クライアントとの意思疎通を頻繁に行なっているようです。CSの領域では、訪問やヒアリングなどのクライアントリレーションを重視するヒューマンタッチ施策に加えて、意思決定においては利用状況データを徹底分析し、クライアントを3種類のステータスに分けて利用改善アクションにつなげていることが紹介されました。

CSM を支える SaaS 達(SmartHR 高橋昌臣氏)

続くSmartHRの高橋昌臣氏のトークでは、オンボーディング期、活用/定着期、更新期の3つに分け、CSチームが実際に活用しているツールを紹介。

質疑応答で注目を集めたのはBIツール「Looker」を活用したスマートなデータの可視化。

オンボーディング期はKPIをLookerで管理してダッシュボードに表示し、商談時のヒアリングに活かす。活用/定着期にはサクセスタブを用意して、ヘルススコアやMRR(月次収益)の推移を記録し、クライアントの過去と現在の状況を視覚化しています。またユーザーをまたいだデータ解析も行うそうです。高橋氏はこれらのデータ管理によりチャーン予測が可能になり、どのようなアクションが継続に繋がったかを分析できていると話します。

プレイドにおけるCSの取り組み (PLAID 清水博之氏)

次はPLAIDの清水博之氏によるプレゼンテーション。自社プロダクトであるCXプラットフォーム"KARTE"におけるクライアントとの事例づくりの取り組みについて紹介しました。同社ではクライアントと提供サービスで実現できたあらゆる"価値"を事例と定義。見つける、産み出すという2つのアプローチについて紹介しました。

同社ではクライアントの施策や使い込んでくれるユーザーを継続的に見つける仕組みを作り、また、ユーザー同士での事例や知見流通のためにコミュニティも力を入れています。またプロダクトの価値を最大限発揮するため、トライアルに積極的なクライアントとの共創にも注力。新たな活用方法の発見や、実際にそこから新しいプロダクトとしてリリースに繋げた例も紹介しました。

CSの価値を届ける組織編成 (ウォンテッドリー 恩田将司)

最後はウォンテッドリーの恩田将司によるチーム作りの事例紹介が行われました。ウォンテッドリーでは有料領域を「継続率を追うチーム(Customer Success)」と「売り上げを追うチーム(Account Sales)」に分けていましたが、両チームの意識が分かれがちになり、両チームが噛み合ってサクセスを届けられているか?と思うところがあった。そこで有料領域をCSとして一本化するとともにチーム編成を組み直し、新たに4つの部門を設けました。

スライドでも紹介されている通り、初回の更新に向けたサポートに注力する「オンボーディング」チームがヘルススコアをベースに運用をフォローし、ヒアリングを元に状況に合わせたオプション活用提案を行う「SMB」チームがクライアントの価値向上を担います。一方で「エンタープライズ」チームは、一定以上のサービス活用を頂いている企業様を対象に運用振り返りなどのコミュニケーションを通じて価値を感じ続けてもらうためのサポートを行います。さらに、これらの全体プロセスを横串でサポートするのが「デジタル&コミュニティ」チーム。プロダクト改善やコミュニティ運営など、テックタッチ&ロータッチ領域の施策を担います。

この新しいチーム編成の意図について恩田は、「CSチームが会社全体の価値の循環を生み出す『心臓部』となること」とまとめました。

質疑応答

ここからは質疑応答。Sli.doを使って集められた来場者からの質問に、登壇者が答えます。

Q オンボーディング・定着・更新まで、「①同じ人が1つの企業を担当する」「②それぞれのフェーズ毎の担当が分かれる」どちらの方式を採っていますか?

是村(Dropbox):Dropboxではクライアントの規模に応じて担当者を付けており、フェーズ分けもしていません。最初から最後まで、アサインされたクライアントを責任をもって担当します。

清水(PLAID):取り組み方は頻繁に変えていて、①、②の両方を試しています。現在はセールスとCSのチームが分かれていて、契約からサポート、オンボーディングにフォーカスするチームも発足しました。いずれにしても社内ミーティングとログを徹底することで、クライアントのデータやオンボーディング部分の情報を共通し、ナレッジをまとめられるよう留意しています。

恩田(ウォンテッドリー):弊社では②で、タイミングで担当者が変わります。担当者のアサインはスコアリングと契約期間の二軸で分けていますね。この方法のメリットは担当者が業務に集中しやすいことと、同じ業態の企業を担当するのでナレッジが蓄積しやすいことです。

Q 顧客へアクションする際はタイミングも重要だと思います。適切なタイミングはどのように測っているのでしょうか?

恩田(ウォンテッドリー):弊社ではスコアリングを用いています。ヘルススコアとは別にアプローチスコアを設け、定性的に判断した上で「クライアントの採用したい気持ちが高まった時」にアプローチを行います。いずれも試行錯誤を続けている段階であり、必ずしも実情とマッチしないケースがあるというのが正直なところですが、定量・定性での意思決定の精度を上げるためにも、今後もブラッシュアップを続けていくつもりです。

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Q ヘルススコアの話が出たので、各社どのように設計・活用を行なっているのでしょうか?

是村(Dropbox): ヘルススコアは用意していますが、それよりも「利用率」を重視してKPIにしています。また、NPSもスコアの一部として利用しています。

高橋(SmartHR):弊社では作っては解体して、を繰り返しています。なぜかというと、妥当性が担保しきれなかったからです。何度もトライしてきた中で見えてきたものは、オンボーディング時のスコアと、定着期のスコアは違うということです。今後も試行錯誤は続くと思います。

Q NPSをどういう指標で追ってるのか?

是村(Dropbox):NPSは単体で機能するものではなく、しっかりと分析する必要があると思っています。顧客が何に満足度を感じているのかを正確に読み取るためには他データとの連携が必要です。

高橋(SmartHR):取っていますが行動データとは紐づけていません。、あくまでクライアントの温度感を知るために使っています。施行時にはWootricを使い、契約から30日・90日といったタイミングで適宜取得しています。

清水(PLAID):弊社では、契約から3ヶ月の時点でクライアントの肌感を知るためにに配信していますが、NPSを会社のKPIには紐づけていません。しかしながら、行動の指針には使っていて、低いスコアを付けたクライアントが出た場合、CSチームにメンションが飛び、対応会議が始まります。

恩田(ウォンテッドリー):弊社でも取得はしていますが目標としての指標としては取り扱っていません。回答数が安定しないので、活用が難しいのが現状です。あくまで参考レベルの指標で、目的設定が難しいものだと思います。

Qセールスチームとの連携時の工夫を聞かせてください。

清水(PLAID):今は契約を取る・お客様をサポートするチームで役割を分けていますが、その間で顧客のステータスの共有漏れが発生しないように、契約までの経緯は直接共有する場をセッティングし、フィードバックを行うようにしています。

高橋(SmartHR):オンボーディングの前情報が足りない場合にフィードバックを行なっています。また、従業員規模が大きめの顧客は受注前から情報をもらって、オンボードのスケジュールなどの共有を徹底しています。そのうえで担当CSMも早めに決めています。チーム定例行ない営業プロセスを確認し、共有の漏れも無くしています。

各社の事例を聞いてみると、ナレッジの蓄積はあってもチーム編成や対応タイミングに共通項は少なく、まだ各社がベストプラクティスを模索していることが分かります。

Dropbox Japanの是村氏はライトニングトークで「カスタマーサクセスの正解はまだ決まっていない、CSに関わる人々がこれからスタンダードを作り出すことができる」と話しました。SaaSやサブスクリプションは誕生して間もない業界。おそらくこれからもカスタマーサクセスの向上のために、地道な試行錯誤は続いていくのでしょう。

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