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株式会社 イー・ビジョン 代表取締役 酒谷信佳
2000年創業の不動産テックカンパニーから見て、不動産業界はどのように映るのか。業界の現状や未来を、代表の酒谷が本音で語る。
スタートは、システムの会社だった
まずは、イー・ビジョンの歩みについて伺えますか?
当社は設立こそ2000年ですが、ずっとテクノロジーの会社として歩んできました。不動産テックに特化したのは、ここ3年くらいの話です。
設立当初は、いわばテクノロジーのラボのような会社といえば分かりやすいでしょうか。「世の中に無いものを生み出す」ために心血を注ぐような、テクノロジーの会社でした。技術思考がすごく強く、エンジニアが中心となって回っているような企業でした。
実はもともと、ガラケーのシステムを作っていました。日本国内で競争していたので、優位を築きやすい分野だったんです。ただご存知の通りガラケーからスマホに切り替わると、市場自体が無くなってしまったというわけです。
そこで色々と試行錯誤しました。たとえばモビークという、PCサイトをスマホに切り替えるサービスを開発しました。手前味噌ですが、わりとうまくいっていました。
ただ、スマホは競争がグローバルなので、なかなか優位を築きづらい。たとえばシリコンバレーの企業と競争しなければならないわけですが、そういった企業には圧倒的なヒト・モノ・カネがあります。今は良くても戦いつづけるのは難しいかもしれないと感じていました。
他にもいろいろなサービスを世に送り出しましたが、テクノロジーオンリーのビジネスモデルはなかなか厳しい時代です。特定の分野に特化する方向に舵を切ろうと思ったのは、その辺りのタイミングでした。
不動産テック専業になったのはなぜでしょう?
設立当初から不動産分野に関係していたからです。テクノロジー不動産会社様から受託開発を請け負っていたため、馴染みはありました。
やはり人間が培ってきたノウハウは大事です。それはテックカンパニーだからこそ実感しています。
不動産は創業以来ずっと取り組んでいる分野でして、何らかの貢献ができるかなと考えました。周りを見渡すと、ちょうど「不動産テック」というワードが知られはじめていた時代です。不動産経験が長く、テクノロジーを専業でやってきたイー・ビジョンなら、不動産テックを通して業界に貢献できると確信しました。
不動産業界の現在の姿
不動産業界にもテクノロジーの波は押し寄せているのでしょうか?
業界は確実に変化していると思います。少なくともほとんどの会社様は、問題意識をお持ちなのではないでしょうか。そして何らかの形でテクノロジーを導入されていたり、検討されている会社様が大半だと思います。
お客様側も変わってきているように思います。たとえば不動産の購入を検討されているお客様がいらっしゃったとします。内見したときには実は、お客様は購入の意思というのはほとんど決まっている場合が多いです。逆に、現地でどうしようかと考えるお客様はかなり減っています。ネットで事前に調べ尽くして、現地にいくときにはすでに買う意思を固めている。内見はいわば、最終確認と契約にいくようなイメージです。
不動産会社に行って探すのではなく、ネットでのリサーチがベースになっている。それがここ数年の変化だと思います。
なるほど。その変化の流れにイー・ビジョンはどのように貢献しているのでしょうか?
起爆剤となるサービスを提供することで、確実に変わりつつある業界の中で、変わろうとする会社を後押ししたいと考えています。
弊社サービスの「ミライエ」で、物件の広告づくりの自動化を進めています。今まで人間が手作業で入れていた物件情報を、システムで入れていくわけです。このようにコンピューター支援を強めることで、人間の負担を大幅に減らすことができます。機械にできることは機械に任せて、人間はクリエイティブなことに注力していただきたいと考えています。
不動産テック業界にもいろいろな会社がありますが、その中でイー・ビジョンの強みは何ですか?
創業以来、不動産関連のテクノロジーを扱ってきた経験だと思います。よく勘違いされるんですが、テクノロジーの観点しかないと、良いサービスを生み出すのはかなり難しい。不動産の知見があるからこそ、不動産業界の会社様が培ってきた情報をテック化できるわけです。
その上で、長年テクノロジー企業として育んできた経験が活きてきます。不動産業界の中でも、システムを専業でやってきた会社だからこそ、変えていけることもあると思うんです。
ミライエが変えていく業界の未来
不動産業界は今後、どのように変わっていくと思いますか?
業界全体が効率化の方向に進むと思います。DXという言葉がありますが、デジタルの力で業界は変わり続けていくと考えています。
一例を挙げると、既存のツールから新世代のシステムに乗り換えることで、データドリブンの営業スタイルに変わっていくことが予想されます。コンピューター支援によって、技術の下支えが可能になります。極端なことをいえば、新人の営業員でも「そこそこ」のレベルの営業ができるようにしていきたいわけです。
そのために、イー・ビジョンはどのような貢献ができそうですか?
ひとつの例ですが、不動産営業をされている会社様向けに、成功のテンプレートを何パターンか用意させていただくことを考えています。
これまで属人的だったノウハウをご提供して、機械の力で技術を下支えします。その上で、それぞれの会社様の味を出していただいて、営業の数字を上げていただけるようにしたいなと思っています。
最後に、イー・ビジョンの未来について伺ってもよろしいですか?
不動産テック企業として、業界の中でポジションを確立したいと考えています。そのためにはやはり、取引先様にお約束している業務を必ずやり切ることが肝心です。
その上で将来的には、不動産業界に限らず、培ってきたノウハウを横展開していきたいと考えています。
世の中には素晴らしいサービスがたくさんあります。一方で、サービス自体は素晴らしいのにユーザー様が使いこなせないものも多くあります。私たちが創業以来やってきたのは、全ての人々にITの利便性を知ってもらうことでした。その理念に基づき、誰もが無理なく運用できるシステムを作りつづけていきたいと思います。