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CAのエース格を惹きつけたモンスター・スタートアップが放つ、「青き魅力」

ここ最近、各界でひときわ注目を集めているベンチャー企業がある。

その名は、ジールス。

28歳の若手経営者によるITスタートアップだが、その実態は多くの読者が思い浮かべるようないわゆる“イマドキ”の会社ではない。

驚くべきは、ミレニアル世代のみならず、世に名を馳せる“熟練者”たちが協力者となり、その手を差し伸べている点だ。

顧問・社外取締役には、元Facebook Japan執行役員 馬渕邦美氏、元クレディセゾン取締役 松田昭博氏、自然言語処理研究分野の第一人者 関根聡氏など、錚々たる面々が名を連ねている。

投資家にもジャフコやフリークアウトなどを筆頭に名だたる顔ぶれが揃っている。その中でも目を引くのがサイバーエージェント。あの「藤田晋」も期待を寄せる会社なのだ。

2020年11月。ジールスはまた新たな練達を迎え入れた。サイバーエージェントに14年在籍し、広告・新規事業・採用育成・ジョイントベンチャー立ち上げなど幅広い経験を持つ渡邊大介が、執行役員としてジョインしたのだ。

「あくまで自分自身の“嗅覚”を頼りに、出した結論でした。確かに、ジールスがいわゆる『藤田ファンド』らから3.5億円の資金調達を昨年実施したと聞いた時は『あの藤田さんが、そんな大規模な投資を?』と驚きましたが、そのことは今回の意思決定にあまり影響を与えていません」

コロナ・ショックによってビジネスの潮流は大きく変化し、あちこちで再編の動きが巻き起こっている。そうした中、渡邊の元にはいくつものオファーが届いていた。

引く手あまたの彼は、なぜジールスを選んだのか。そもそもこの会社の実態とは。詳細に紐解いていきたい。

「こいつら、本当に大化けするかもしれない」

ジールスは2014年に創業。チャットボットを基軸に“おもてなし革命”を掲げ、「チャットコマース」「接客DX」の2事業を展開している急成長企業だ。

「COOの遠藤竜太は、私がサイバーエージェントで採用担当をしていた時に出会った学生だったんです。結局、ジョインはしてくれませんでしたが、以降もSNSで連絡を取り合う仲になって。

その後、遠藤がジールスに転職したことで、この会社を知り、代表の清水正大とも知り合いました。今から3年前、ちょうど私がジョイントベンチャーを立ち上げた直後ですね」(渡邊)

渡邊の、清水に対する第一印象を一言で表すと「勢い先行の若者」。京大出身で知性派の遠藤とは対照的で、「とてもじゃないけど、当時は一緒に働くイメージなど持てなかった」という。

そのイメージが一変したのは、“発注者”としてジールスと仕事をしてからだった。

結論から述べると、当時のサービスラインでは渡邊が期待していた成果は出なかった。

「とはいえ、報告された内容に違和感はなかったし、そもそもトライアル的な取り組みでもあったので『振り返りだけしっかりできればいいや』ぐらいに思っていました。でも、清水は違った。最後の最後まで何通りものコミュニケーションスイッチを試し、その結果を逐一報告してくれたんです。とにかく結果にコミットしてくれた。採算度外視でニーズに応えようとする姿勢、粘り強さには思わず舌を巻きました」

こいつら、本当に大化けするかもしれない──得も言われぬ期待を抱き始めた渡邊は、積極的に彼らの近況に耳を傾けるようになった。

「するとある時点から、熱くビジョンを語るのみだった清水の話に、ぐっと具体性が帯びるようになったんです。そこに登場する人物も、誰もが知るカリスマ経営者や著名な投資家など重鎮がずらり。志に実業が追いついてきたんだな、と実感しました」

今の延長線上ではなく、もう一度新卒のような気持ちで働ける会社に

渡邊はこれまで、どのようにして人やビジネスへの審美眼を鍛えてきたのだろうか。キャリアを辿ってみると、意外な事実が見えてきた。

サイバーエージェントに14年在籍し、ベンチャー界隈ではある程度名が通っている渡邊ではあるが、実は2度にわたる“不遇の時代”を経験しているのだ。

「入社後は広告営業部に配属されましたが、最初の2年間は鳴かず飛ばずで。学生時代から色々なビジネスを手がけていたこともあったので、プライドだけはやたら高かったんですが、その鼻を見事にへし折られた感じでしたね」

しかし、大手外資ITの大型プロモーションを担当し、その手腕が認められたことで一気に上昇気流に乗る。

当時先駆けだったデジタルマーケティングやブランディング、SNSマーケティングにも携わり、その実態を綴った個人ブログは最高で月間30万PVを獲得する人気ブログとなった。

2011年からは、社内の重要合宿である「あした会議」にも度々顔を出すようになった。一握りの社員のみ参加が許される、いわば“サイバーエージェントの幹部”の証だ。

渡邊いわく「自らのキャリアが完全に沈んでしまった3年間」に突入したのは、その翌年である2012年。「スマホシフト」に関連したB2C新規事業に従事するも、ことごとく失敗に終わった。

「あした会議」にも声がかからなくなり、焦燥感に駆られていた渡邊。最悪のタイミングで打診されたのは人事採用担当だった。

攻めではなく守りとなる管理部門に抵抗を感じ、一度は断った渡邊だが、「自分のキャリアを再起させるためには、Whatを変えるか、働く場所を変えるしかない」と、思い切って新しい領域に飛び込むことにした。

彼の「人を見る目」が養われたのはまさに、この時期だ。COO遠藤とも運命の出会いを果たした。

その後、HRテクノロジー「Geppo」を提供するリクルートとのジョイントベンチャー・ヒューマンキャピタルテクノロジー社の立ち上げに参画し、順調に会社は大きくなっていた。

新型コロナウイルスの影響も受けず同社のサービスは順調に導入企業数を増やしていったが......どこか渡邊は新しい刺激を求めはじめていた。その矢先、彼の元に複数のオファーが舞い込む。

「サイバーエージェントに戻ればそれなりの待遇で迎えられたでしょうし、他社も非常に良い条件を出してくれていました。その中で、なぜ私はジールスを選んだのか。

人生100年時代と言われる時代、若い頃に積み重ねた実績や資産だけでは、いつかくるキャリアの踊り場の時間が長くなる。『今の延長線上ではなく、もう一度新卒のような気持ちで働ける会社に飛び込みたい』そう考え、一番ピンときたのが、ジールスだったんです」

一人の広告マンとして、“この会社の実像”を世に知らしめる

チャットボット事業の将来性、すこぶる優秀なメンバー、会社全体のモチベーションの高さなど、ジールスの魅力は限りないが、入社の最たる理由は「社長の凄さ」にあると彼は言い切る。

「清水の普段の言動を見ていても『本当に日本をぶち上げるんじゃないか』と思わせる瞬間が度々あります。

例えば、疑問点があれば徹底的に潰し、ラストワンマイルまで考え抜く、自身のモメンタムの見極め方がしっかりと築かれている、常に矢面に立つ覚悟がある......一見すると、どれもシンプルなことばかりですが、一つひとつを実践していることに経営者としての気概を感じます」

一方で渡邊は、こうした清水や会社の実像が世間に伝わり切れていないことが課題だと話す。

「言葉の開発は、会社経営の肝です。例えば、『日本をぶち上げる』というジールスのビジョンは、シンプルで定着しやすく、受け取った人がそれぞれに解釈できる余白もあります。

しかしその言葉の強さから“勢いだけ”という印象も与えてしまうのも事実。そこに少し説明を加えたり、映像化して伝わりやすくするのが、広告マンである自分の役目かな、と」

採用担当時代、自ら開いていた会社説明会で「自分が発する言葉で、相手の表情がこんなにも変わる」のを肌で感じたという渡邊。それは社外のみならず、社内においても“浸透圧の高いワード”が不可欠だと話す。

「今後おそらく、社員数は200人、300人と増えていくでしょう。そうなると清水一人では到底フォローしきれなくなる。そうした将来を見据えて、彼や会社の本質を捉えた言葉の開発を施し、それらを正しく伝えるエバンジェリストになりたいと考えています」

他社が大きく資金調達を実施したと聞けば、ただ羨むのではなく「僕らだったら何に使えばいいんですかね」と尋ねてくる清水。それに全力で応える渡邊。

世代を超えたコンビネーションが織りなす新生ジールスに、期待が高まるばかりだ。

2020年11月24日 Forbes CAREER に掲載
制作:Forbes CAREER 編集部
文・福嶋聡美 写真・小田駿一

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