人はこんなに変わるからびっくりするって話。

クロス・コミュニケーションの人事担当、工藤です。ここでは自己紹介として、私という人事が何を考えて生きてるのか、その一部を晒しますよ。

この記事のカバー写真にしてるのは、私がまだ学生とか新卒とかそのあたりの年頃のころのものです。顔が多少丸くなったくらいで、今も私のビジュアルは何も変わってないように見えます。見えるはず。

さて、この時私が思い描いていた人生とか社会とかは、昔ながらの「ふつう」のストーリーがベースになって構築されていました。新卒で入った会社に基本的にはずっと勤めるんだとわりと本気で思っていたし、子供を産んだとしても会社の制度をうまく使って働き続けて、仕事も頑張って、中年くらいでまあまあ偉いポジションに行って、金銭的に不自由しないちゃんとした人生を送るんだと思っていました。

新卒のとき、私は大卒・正社員というフォーマットの上で、老舗の総合不動産会社に入社して、先輩や上司にも大変恵まれました。社会人としての基礎をたくさん教えていただきました。大人は会社という身分証明してくれる組織に所属し、そして大人ってのはたいてい誰もが決まりごとを守り、課長とか部長とかの肩書きは全部ではないにしろその人の中身を一定程度保証する。そんな感じのことをほがらかに信じていました。とっても会社ファースト。今振り返れば、私はとても大切にされ、大変幸福な人間でした。

そんな幸福な私が築いた幸福なフレームは、諸事情あり「ずっとこの会社にいる」という予定を変更して上京してきて、転職して、その後数ヶ月で崩れ去ったよね。

人事をやれたらどこでもいいと思って転職した業界は、偶然にもIT業界とテレビ業界を混ぜたような特殊なところであり、それまで私が見たこともないような人種の人がゴロゴロしていました。

IT業界のふわふわ感と、テレビ業界のイケイケ感。オフィスに何台もテレビがあって、それが全部電源オン。ふつうに仕事中にドラマが観られちゃう何これ。冬季オリンピック、羽生結弦選手のショートをLIVEで最初から最後まで見られたのは大変いい思い出でした。

その空気感もさることながら、まず同僚が大卒じゃないのがデフォルト。基本的には技術者とクリエイターの集団だから、高卒・専門卒がむしろデフォルト。雇用形態も正社員・契約社員・アルバイト・派遣・業務委託などなど、会社に来て何かするという関係性にのみまとめられるようなバラエティ。人材を集めるためにいろんな人材会社や制作会社の人と会うけれど、役員とか部長とかゴロゴロいて、彼らの年齢もキャリアも何もかも私が持っていたフレーム内の常識とズレている。

みんなとっても優しくてフレンドリー。だけど仲間はどんどん入れ替わる。社外の関係者のみなさまも、みんなフッと次のキャリアへと楽しそうに、ときに悔しさをあらわに卒業していく。独立する人もいれば、起業するんだって人もいて、みんなそれぞれのキャリアへと発っていく。

経験したことのない異質な世界にうっかり飛び込み、その一部になる頃には、私の世界に対する考え方はもはやパラダイムシフトを起こしていました。

会社や雇用形態や学歴年齢その他何もかも、それってまじでただのラベルに過ぎない。ラベルはその人を守らないし、法律だって社会だって何かを守るには限界がある。会社が全部やってくれる、そんな幸福で守られた仕組みが成立するのは、この世界のほんの一部で、その他のほとんどの世界では人は身ひとつで生きている。私の現実が変わったわけですね。

私は人事なので、会社組織のことをひたすら考え、同じ組織で働く仲間たちのことをずっとずっと考えていて、それは転職を重ねた今も変わりません。でも、その仲間たちは決して会社という入れ物の中に詰め込まれているわけではありません。会社といういわばでっかいフラフープの一端を、身ひとつで、自らの意思でともに握ってくれている仲間です。別にいつ離したっていいんだけど、楽しいからここにいるよ。自分の気持ちでこの会社を選び、ここにいる。そんな仲間を増やすのが、私が今やっている仕事の一つ、採用というものです。

会社というのは組織の力で物事を進めていける大変おもしろい仕組みですが、それ以上でもそれ以下でもないと思っています。数年前、私の頭の中で「ふつう」のストーリーの中に必須の装置として登場していた会社とはえらい違いです。もはや仕組み以外の何ものでもない会社。だからあなたの生きざま、あなたの本気とマッチしないそんな会社なら、入社する必要はないし、捨てちまえよ。あなたが「ここだ!」と思う会社で働いて、自分の手で幸せになりましょう。

長々と書いてきましたが、ともかく私の「ふつう」はこの数年ですっかり変わってしまったということです。

自分が体感してしまったものだから、私は完全に、人生とか社会は「個人」という主体の選択の連続で成り立っているのだと今は信じています。そしてそれは、私の現実を「ふつう」が支配していた時代のものより、俄然おもしろいと感じています。

「大卒・正社員」のフォーマットのなかで私はふつうの安全なレールを歩き、幸福でした。そのころは数年以内に自分が東京で、2回も転職してるなんて思ってもみなかった。そしてまさか、自分がIT業界に入って社長直下で人事をやったり、Twitterやイベントのおかげで社外に無数に仕事仲間が拡がっていたり、そんな世界があったなんて思いもしなかった。

人ってものの数年でこんなに色々変わるものなんですねえ。未来には希望しかないですねえ。だって何だって自分で選んでいけるのだから。

自分のことながら、変わったなあとたまに思い出して感慨深いという話でした。おわり。

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